学校運営協議会の制度導入に至る経緯について


文部科学省 学校運営協議会制度に関する参考資料より


必要性

◆ 国民の学校教育に対する要請が多様化・高度化する中で、公立学校が国民の期待に十分応えることができるよう、公立学校の管理運営  の活性化を図る必要。
◆ このため、地域の住民や保護者がより主体的に学校の運営に参画することを可能とすることにより、地域の住民、保護者の意向に的確に 対応した教育活動を実施し、信頼される学校づくりを進めることが重要。
 


関係答申等

★ 教育改革国民会議報告−教育を変える17の提案− (平成12年12月22日)
★ 規制改革推進3か年計画(再改定)(平成15年3月28日閣議決定)
★ 今後の学校の管理運営の在り方について (平成16年3月4日中央教育審議会答申)
★ 規制改革・民間開放推進3カ年計画(平成16年3月19日閣議決定)


学校運営協議会制度の導入

※平成16年度地教行法改正(※第47条の5に規定、平成16年9月9日施行)

1.教育委員会は、教育委員会規則で定めるところにより、その所管に属する学校のうちその指定する学校(以下「指定学校」という。)の運営 に関して協議する機関として、当該指定学校ごとに、学校運営協議会を置くことができる。
2.学校運営協議会の委員は、当該指定学校の所在する地域の住民、当該指定学校に在籍する生徒、児童又は幼児の保護者その他教育  委員会が必要と認める者について、教育委員会が任命する。
3.指定学校の校長は、当該指定学校の運営に関して、教育課程の編成その他教育委員会規則で定める事項について基本的な方針を作成 し、当該指定学校の学校運営協議会の承認を得なければならない。
4.学校運営協議会は、当該指定学校の運営に関する事項(5の事項を除く。)について、教育委員会又は校長に対して、意見を述べることが できる。
5.学校運営協議会は、当該指定学校の職員の採用その他の任用に関する事項について、当該職員の任命権者に対して意見を述べること  ができる。
 この場合において、当該職員が県費負担教職員であるときは、市町村委員会を経由する。
6.指定学校の職員の任命権者は、当該職員の任用に当たっては、5により述べられた意見を尊重するものとする。
7.教育委員会は、学校運営協議会の運営が著しく適正を欠くことにより、当該指定学校の運営に現に著しい支障が生じ、又は生ずるおそれ があると認められる場合においては、その指定を取り消さなければならない。
8.指定学校の指定及び指定の取消しの手続き、指定の期間、学校運営協議会の委員の任免の手続及び任期、学校運営協議会の議事の  手続その他学校運営協議会の運営に関し必要な事項については、教育委員会規則で定める。
 



関係答申等(抜粋)1

●教育改革国民会議報告−教育を変える17の提案− (平成12年12月22日)
4.新しい時代に新しい学校づくりを
 ◎新しいタイプの学校(“コミュニティ・スクール”等)の設置を促進する
   新しいタイプの学校の設置を可能とし、多様な教育機会を提供する。新しい試みを促進し、起業家精神を持った人を学校教育に引き込む ことにより、日本の教育界を活性化する必要がある。

提言
(3)地域独自のニーズに基づき、地域が運営に参画する新しいタイプの公立学校(“コミュニティ・スクール”)を市町村が設置することの可能  性を検討する。これは、市町村が校長を募集するとともに、有志による提案を市町村が審査して学校を設置するものである。校長はマネジメ ント・チームを任命し、教員採用権を持って学校経営を行う。学校経営とその成果のチェックは、市町村が学校ごとに設置する地域学校協議 会が定期的に行う。
 


●規制改革推進3か年計画(再改定) (平成15年3月28日閣議決定)
1 教育主体の多様化
(2)コミュニティ・スクール導入に向けた制度整備【平成15年中に検討・結論】
  新しいタイプの公立学校であるコミュニティ・スクールを導入することの意義は、教職員人事を始めとする運営・管理及び教育の実施 等に ついて、学校、保護者、地域の独自性を確保する一方で、地元代表や保護者の代表を含む「地域学校協議会(仮称)」に対しアカウ ンタビリ ティを負うことにより、社会や地域住民・需要者のニーズに応じた多様で機動的な学校運営を可能とし、独創性と創造性に富んだ人材の育  成に資することにある。これらの点を踏まえ、コミュニティ・スクール導入のための制度整備に関しては、例えばコミュニティ・スクールの設置 手続、「地域学校協議会(仮称)」の設置と機能、都道府県教育委員会、市町村教育委員会及び地域学校協議会の教員任免等に係る権限 の在り方等の点について、法令上の規定を設けることを検討する。


●規制改革・民間開放推進3カ年計画 (平成16年3月19日閣議決定)
○ 教育主体の多様化
 (1)コミュニティ・スクールの法制化【平成16年度中に措置】
   新しいタイプの公立学校であるコミュニティ・スクールは、教職員人事、予算使途及び、教育課程の決定などの学校経営について、学校、  保護者、地域の独自性を制度的に担保する一方で、地元代表や保護者代表を含む「地域学校協議会」が地域に対し説明責任を負うという  、地域コミュニティに開かれた、責任のある経営体として地方公共団体によって設置される。コミュニティ・スクールを導入することの意義は  、社会や地域住民・需要者のニーズに応じた多様で機動的な学校経営を可能とし、独創性と創造性に富んだ児童・生徒の育成に資するこ  とであり、また、その存在が、既存の公立学校システム全体の活性化に資することにある。
   よって、平成17年4月の開校に向け、コミュニティ・スクールの設置手続、地域学校協議会の設置手続・構成・機能のほか、学校 長及び  教職員について、地域学校協議会が人選についての推薦を含め人事に関与し、任命権者は地域学校協議会の意向を尊重することとする  など、人事に関し地域学校協議会の意向が反映されることが確実に担保されるような、学校長、地域学校協議会、市町村教育委員会、都  道府県教育委員会等の権限と責任の在り方を定めた所用の法律改正案を可能な限り速やかに国会に提出する。



関係答申等(抜粋)2

●今後の学校の管理運営の在り方について (平成16年3月4日中央教育審議会答申)

第2章 地域が参画する新しいタイプの公立学校運営の在り方について

1 地域が公立学校の運営に参画することの意義について

 ○ 我が国の公立学校の運営は、関係法令に基づき、教育委員会及び校長の権限と責任の下で行われている。こうした学校の運営の在り  方は、学校運営に関する責任の所在を明確にするとともに、一定の教育条件・教育内容を確実かつ均等に保障する上で重要な役割を果   たすものであるが、一方で、学校の運営の状況が保護者や地域住民等に分かりにくく、学校の閉鎖性や画一性などにつながりがちである  との指摘もなされてきた。
 ○ 学校は地域社会を基盤として存在するものであり、充実した学校教育の実現には、学校・家庭・地域社会の連携・協力が不可欠である。  これまでも、地域に開かれた信頼される学校づくりを目指して、全国の学校で様々な取組が進められてきた。例えば、平成12年に導入さ   れた学校評議員制度は、既に半数以上の学校で導入されている。また、学校側からの動きだけでなく、保護者や地域社会からの学校へ   の働き掛けも活発化してきた。例えば、学校支援のための様々なボランティア活動などの取組も各地で進みつつある。
 ○ このような中で、近年、学校と地域社会との連携・協力を更に一段階進め、地域の力を学校運営そのものに生かすという発想が出てくる  ようになった。平成12年の教育改革国民会議報告においては、「新しいタイプの学校(“コミュニティ・スクール”等)の設置を促進する」とい  う提言が行われ、文部科学省では、平成14年度から、モデル校を指定して、新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究を実施し  ている。また、政府の規制改革推進3か年計画(再改定)においては、「コミュニティ・スクール導入のための制度整備」に関して、法令上の  規定を設けることについて平成15年中に検討し結論を出すことが決定されているところである。
 ○ 経済・社会の大きな構造改革の中で、可能な限り地方分権を進め、権限と責任を「現場」に近いところに移していこうとする流れが急速   に進んでいる。また、従来は公的部門が単独で担ってきた分野についても、住民等に参画を求め、その力を生かすことによってより良い成  果を実現していこうとする動きが顕著となりつつある。特に、文化活動や社会教育の分野においては、近年、各地で特色ある取組が見られ  るようになっている。公立学校の運営に保護者や地域住民の参画を求めることにより、学校を内部から改革しようという考え方は、このよう  な社会全体の大きな改革の流れの中に位置付けられるものである。
 ○ 都市化の進行等に伴い、多くの地域でかつての地縁に基づく地域社会が変容し、「地域の学校」という考え方が次第に失われてきた。 し  かし、その一方で、保護者や地域住民の側に、自らが学校の運営に積極的に参画することによって、自分たちの力で学校をより良いもの  にしていこうとする意識が生まれつつある。こうした意識の高まりを的確に受け止め、学校と保護者や地域住民が力を合わせて学校の運   営に取り組むことが可能となるような仕組みを構築していくことが求められている。 ○ 各学校の運営に保護者や地域住民が参画すること  を通じて、学校の教育方針の決定や教育活動の実践に、地域のニーズを的確かつ機動的に反映させるとともに、地域ならではの創意や   工夫を生かした特色ある学校づくりが進むことが期待される。学校においては、保護者や地域住民に対する説明責任の意識が高まり、ま  た、保護者や地域住民においては、学校教育の成果について自分たち一人一人も責任を負っているという自覚と意識が高まるなどの効果  も期待される。さらには、相互のコミュニケーションの活発化を通じた学校と 地域との連携・協力の促進により、学校を核とした新しい地域  社会づくりが広がっていくことも期待される。
 ○ 地域の参画による学校運営は、これまでの実践研究の成果等にも示されるとおり、現行においても、学校評議員制度など各種の制度の  柔軟な活用によって、かなりの程度実現することが可能であり、今後ともすべての学校において、地域に開かれた学校づくりを目指した取  組を推進することが求められる。
 ○ 一方で、例えば、学校評議員制度については、その意見を踏まえて教育内容の改善を行うなど、大きな成果を上げる学校があるものの  、運用上の課題を抱え、必ずしも所期の成果を上げ得ない学校もある。また、学校評議員制度の、校長の求めに応じて意見を述べるとい  う役割を超えて、より積極的に学校運営にかかわることができるような新たな仕組みを検討すべきとの指摘もある。
 ○ 今後、公立学校をより多様で魅力的なものとするためには、学校評議員制度に関する運用の改善を図るなど、これまでの取組を更に    発展させることが必要である。開かれた学校づくりの原点として、保護者や地域住民が学校に対する様々な意見や要望を、幅広く、また気  軽に相談できるような窓口を拡充していくことも重要であろう。 併せて、こうした既存の枠組みを超えて、新たに保護者や地域住民が一定   の権限と責任を持って主体的に学校運営に参加するとともに、学校の裁量権を拡大する仕組みを制度的に確立し、新しい学校運営の選   択肢の一つとして提供することも必要と考える。今後、こうした新しい学校運営の在り方について更に詳細な制度設計を行った上で、明確   な法令上の根拠を与える必要がある。


2 制度化に当たっての基本的な考え方について
(1)制度導入の対象
 ○ 保護者や地域住民が一定の権限を持って運営に参画する新しいタイプの公立学校(以下便宜上「地域運営学校」という。)に関する 制   度の導入の対象としては、地域とのつながりが特に深い小学校や中学校が中心になると考えられるが、地域の実情に応じ、学校を設置す  る地方公共団体の教育委員会の判断で、幼稚園や高等学校などを対象とすることも考えられる。
 ○ 地域運営学校は、学校運営の在り方の選択肢を拡大するための手段の一つとして新たに制度化すべきものである。したがって、その導  入は、すべての公立学校に一律に求められるものではなく、地域の特色や学校の実態、保護者や地域住民の意向などを十分に踏まえて  、学校を設置する地方公共団体の教育委員会の適切な判断により行われることとし、その指定の手続については教育委員会において定   めることが適当である。

(2)基本的な制度の内容
 ア 学校運営協議会の設置
  ○ 学校の運営への保護者や地域住民の参画を制度的に保障するための仕組みとして、教育委員会が、地域運営学校の運営について    協議を行う組織(以下便宜上「学校運営協議会」という。)を設置することが必要と考えられる。
    学校運営協議会は合議制の機関であり、その委員としては、児童・生徒の保護者、地域住民のほか、当該学校を設置する地方公共     団体の教育委員会が適当と考える者のうちから、当該教育委員会において任命することが適当である。委員の数、構成、委員の任命の   手続、任期、学校運営協議会の議事に関する事項等については、教育委員会規則において定めることになると考えられる。なお、委員    は非常勤の公務員に位置付けられるものと考えられるが、教育の中立性や公正性を確保する観点から、例えば学校運営協議会の委員   の任命に当たり守秘義務を課すことなども検討されるべきである。
 イ 学校運営協議会の役割
  ○ 学校運営協議会の役割としては、
   (@)学校における基本的な方針について決定する機能、
   (A)保護者や地域のニーズを反映する機能、
   (B)学校の活動状況をチェックする機能
   が考えられる。すなわち、学校運営協議会には、例えば、学校における教育課程編成の基本方針、予算執行や人事配置等に関する基    本方針等、当該学校の運営の大綱について、校長等の提案に基づいて承認を行うなど、学校における基本的な意思決定に関与する役   割を果たすことが期待される。校長は、承認された基本的な方針に基づき、学校運営の責任者として具体的な事項について決定し、校務   を行うこととなる。このように、学校の基本方針の決定等に当たり、校長は学校運営協議会に対し十分な説明を行い、相互に意見交換を   行うことが必要となるが、この過程を通じて、保護者や地域住民が自らも学校運営に共同責任を負っているとの自覚を深め、校長を中心   とした具体的な学校運営の支援に積極的にかかわっていくことが期待される。 また、学校運営協議会の委員には、保護者や地域住民を   代表する立場にある者として、学校に対する保護者の要望や地域ニーズを公平・公正に、かつ、幅広く把握・集約し、学校運営に反映さ    せることが求められる。さらに、基本的な方針に照らした学校の教育活動の実施状況について絶えず目を配り、評価を行い、必要があれ   ば改善を求めるなどの働き掛けを行うことなども期待される。 このような権限を有する学校運営協議会には、自らの活動に関して、保護   者や地域住民、教職員等の学校関係者に対して説明を行う責任が生じる。また、当該学校において所期の教育目標が十分に達成され    ないなどの場合には、委員の解任や学校運営協議会の解散 などの形でその責任が問われるものと考えられる。
 ○ 学校にどのような校長や教職員を得るかということは、地域の意向を踏まえた特色ある学校運営の成否に特に重要な影響を与える問題  である。このため、実践研究校のこれまでの研究においても、校長を公募し、その選考に学校運営協議会が関与したり、教職員の人事に  ついて要望を行うなどの取組が試みられてきたところである。こうしたことを踏まえ、地域運営学校においては、現在の校長による意見具   申や市町村教育委員会による内申に加えて、学校運営協議会が校長や教職員の人事について具体的に関与することができるようにする  とともに、人事に関し最終的な権限を持つ教育委員会においては、地域運営学校制度の趣旨にかんがみ、校長や学校運営協議会の要望  等を可能な限り実現するよう努める必要がある。このために、例えば、学校運営協議会が、教職員の公募を求めたり、任用の候補者につ  いて要望するなど、学校運営協議会が人事について任命権を有する教育委員会に対して意見を述べることができ、当該教育委員会にお   いては、その意見を尊重して人事を行うなどの仕組みを設けることが考えられる。この場合、市町村立小学校又は中学校の学校運営協議  会においては、当該市町村教育委員会を経由して都道府県教育委員会に意見を述べることが適当と考えられる。なお、学校運営協議会   から意見の申し出があった場合、市町村教育委員会は、地域運営学校制度の趣旨にかんがみ、特段の支障がない限り、その意見と同様  の内申を行うこととなるものと考える。
 ○ また、市町村教育委員会が市町村立小学校又は中学校を地域運営学校に指定する場合、当該学校における教職員は県費負担教職   員であることから、教職員の任命権者である都道府県教育委員会に対し事前に協議を行うなどの手続が必要と考えられる。
 ○ 保護者や地域住民に学校運営に当たっての一定の権限を与えること、すなわち、学校運営協議会に具体的にどのような権限を与える   か、その際、校長や教育委員会との関係をどのように位置付けるかなどについて法令上規定することは、現在の地方教育行政制度に全く  新しい視点に立った仕組みを導入するものである。このため、その制度化に当たっては、教育委員会の自主的、主体的な取組が促進され  るよう、地方教育行政全体の在り方にも照らしつつ、十分な検討を行う必要がある。

 ウ 校長の裁量権の拡大等
  ○ 地域運営学校の運営をより効果的なものとするためには、学校の創意工夫を生かした様々な取組が可能となるよう、学校運営の責任   者である校長の裁量権を拡大することが重要である。先に述べたように、教職員人事については、学校運営協議会の関与の下、学校の   裁量権の拡大を図ることも必要であるが、これに加えて、例えば、地域運営学校の校長に係る裁量経費を増額することや、学校の判断    に基づき非常勤講師の採用を可能にすることなど、現行制度の運用の改善等による対応が可能な事柄については、各学校の設置者に   おいて積極的な検討を行うことが求められる。
  ○ また、学校の裁量権が拡大するに伴い、校長には、学校を取り巻く地域の様々な関係者と十分なコミュニケーションを図り、相互の連    携・協力を確保しつつ、学校の責任者としてリーダーシップを発揮する高い力量が一層強く求められることとなる。国や教育委員会におい   ては、高度な専門性や経営能力など校長として求められる資質や能力の向上に向け、研修等の充実に取り組む必要がある。

(3)点検・評価等
 ○ 地域運営学校は、これまで行政内部で完結していた学校運営に保護者や地域住民が責任を持って参画するものである。地域運営学校  が、公立学校として担うべき公共性や公平性・公正性を担保しつつ、その特色を生かした教育を実践していくためには、当該学校による自  己評価が重要である。さらに、学校を設置する地方公共団体の教育委員会において、学校運営協議会の活動も含め、地域運営学校の教  育活動を不断に点検・評価するとともに、その結果を例えばインターネット等を通じて情報公開し、その成果を他の学校の教育活動にも生  かしていく必要がある。
 ○ 教育委員会が行う点検・評価においては、例えば、学校運営協議会が期待される機能を十分に果たしているか、公立学校としての公共  性・公平性・中立性の確保や教育水準の維持等は適切に図られているか、地域の信頼に応える学校づくりに具体的な成果が上がっている  かといった観点から、それぞれの地域運営学校の特色に応じた評価項目を定め、適切に実施していくことが求められる。その際、第三者   による評価委員会等を設置し、その評価を参考にすることや、保護者や地域住民に広く意見を求めることなども有効であろう。点検・評価  の結果によっては、地域運営学校に教育活動の改善を求めたり、その指定を取り消すなどの措置を講じる必要も生じるものと考えられる。  ○ 地域運営学校の円滑な運営を実現し、所期の目的が達成されるよう、地域運営学校を設置する地方公共団体の教育委員会において  は、あらかじめその指定や取消しに関する手続き等必要な事項を教育委員会規則において定めるとともに、地域運営学校の運営に関す   る調整や評価などを行う組織を明確にするなどの十分な体制整備を図ることなどが求められる。また、国においても、地域運営学校に関   する情報の収集・提供や評価方法に関する研究開発等を通じて、新しいタイプの学校運営を積極的に支援していく必要がある。
 



関係法令抜粋

●地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)抄

   第三節 学校運営協議会

第四十七条の五 教育委員会は、教育委員会規則で定めるところにより、その所管に属する学校のうちその指定する学校(以下この条にお  いて「指定学校」という。)の運営に関して協議する機関として、当該指定学校ごとに、学校運営協議会を置くことができる。
2 学校運営協議会の委員は、当該指定学校の所在する地域の住民、当該指定学校に在籍する生徒、児童又は幼児の保護者その他教育  委員会が必要と認める者について、教育委員会が任命する。
3 指定学校の校長は、当該指定学校の運営に関して、教育課程の編成その他教育委員会規則で定める事項について基本的な方針を作成 し、当該指定学校の学校運営協議会の承認を得なければならない。
4 学校運営協議会は、当該指定学校の運営に関する事項(次項に規定する事項を除く。)について、教育委員会又は校長に対して、意見を 述べることができる。
5 学校運営協議会は、当該指定学校の職員の採用その他の任用に関する事項について、当該職員の任命権者に対して意見を述べること  ができる。この場合において、当該職員が県費負担教職員(第五十五条第一項、第五十八条第一項又は第六十一条第一項の規定により  市町 村委員会がその任用に関する事務を行う職員を除く。)であるときは、市町村委員会を経由するものとする。
6 指定学校の職員の任命権者は、当該職員の任用に当たっては、前項の規定により述べられた意見を尊重するものとする。
7 教育委員会は、学校運営協議会の運営が著しく適正を欠くことにより、当該指定学校の運営に現に著しい支障が生じ、又は生ずるおそれ があると認められる場合においては、その指定を取り消さなければならない。
8 指定学校の指定及び指定の取消しの手続、指定の期間、学校運営協議会の委員の任免の手続及び任期、学校運営協議会の議事の手  続その他学校運営協議会の運営に関し必要な事項については、教育委員会規則で定める。

   第二節 市町村立学校の教職員

(任命権者)
第三十七条 市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条及び第二条に規定する職員(以下「県費負担教職員 」という。)の任命権は、都道府県委員会に属する。
2 前項の都道府県委員会の権限に属する事務に係る第二十五条第二項の規定の適用については、同項第四号中「職員」とあるのは、「職員 並びに第三十七条第一項に規定する県費負担教職員」とする。

●地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)抄

(市町村委員会の内申)
第三十八条 都道府県委員会は、市町村委員会の内申をまって、県費負担教職員の任免その他の進退を行うものとする。
2 前項の規定にかかわらず、都道府県委員会は、同項の内申が県費負担教職員の転任(地方自治法第二百五十二条の七第一項の規定に より教育委員会を共同設置する一の市町村の県費負担教職員を免職し、引き続いて当該教育委員会を共同設置する他の市町村の県費負 担教職員に採用する場合を含む。以下この項において同じ。)に係るものであるときは、当該内申に基づき、その転任を行うものとする。た  だし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
  一 都道府県内の教職員の適正な配置と円滑な交流の観点から、一の市町村(地方自治法第二百五十二条の七第一項の規定により教   育委員会を共同設置する場合における当該教育委員会を共同設置する他の市町村を含む。以下この号において同じ。)における県費    負担教職員の標準的な在職期間その他の都道府県委員会が定める県費負担教職員の任用に関する基準に従い、一の市町村の県費    負担教職員を免職し、引き続いて当該都道府県内の他の市町村の県費負担教職員に採用する必要がある場合
  二 前号に掲げる場合のほか、やむを得ない事情により当該内申に係る転任を行うことが困難である場合
3 市町村委員会は、次条の規定による校長の意見の申出があった県費負担教職員について第一項又は前項の内申を行うときは、当該校長 の意見を付するものとする。

(校長の所属教職員の進退に関する意見の申出)
第三十九条 市町村立学校職員給与負担法第一条及び第二条に規定する学校の校長は、所属の県費負担教職員の任免その他の進退に  関する意見を市町村委員会に申し出ることができる。



関係通知(抜粋

●「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律の施行について」(平成16年6月24日文部科学事務次官通知)

 このたび、別添のとおり、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)が平成一六 年六月九日法律第九一号をもって公布され、平成一六年九月九日から施行されることとなりました。
 今回の改正は、中央教育審議会答申「今後の学校の管理運営の在り方について」(平成一六年三月)、「教育改革国民会議報告−教育を 変える一七の提案−」(平成一二年一二月)及び総合規制改革会議「規制改革の推進に関する第三次答申」(平成一五年一二月)等を踏まえ、公立学校の管理運営の改善を図るため、教育委員会が、その指定する学校の運営に関して協議する機関として、地域の住民、保護者等により構成される学校運営協議会を設置できるようにすることを目的として行うものである。
 今回の改正の趣旨、概要及び留意事項は下記のとおりですので、地域の実情に応じて適切な取組を進めていただくよう願います。
 また、都道府県教育委員会におかれては、域内の市町村教育委員会及び市町村長に対して、本改正の周知を図るとともに、適切な事務処理が図られるよう配慮願います。

                                           記

第一 改正の趣旨
 公立学校の運営についての地域の住民や保護者等の意向等が多様化、高度化している状況に的確に対応し、公立学校教育に対する国民の信頼に応えていくためには、地域の住民や保護者のニーズを学校運営により一層的確に反映させる仕組みの導入が必要である。このため、校長と地域の住民、保護者等が、共同して地域づくりを行うとともに、より透明で開かれた学校運営を進め、地域に信頼される学校づくりを実現する観点から、各教育委員会の判断により、地域の住民や保護者等が一定の権限を持って学校運営に参画する合議制の機関として学校運営協議会を設置することを可能とするものであること。 なお、各教育委員会においては、地域や学校の実態や要望を十分に踏まえ、今回の学校運営協議会の導入を含め、所管に属する公立学校の管理運営の改善に引き続き取り組むとともに、学校運営協議会制度の趣旨、内容等について、地域の住民や保護者等に対して十分な広報、 周知に努める必要があること。

第二 改正法の概要
 1 教育委員会は、教育委員会規則で定めるところにより、その指定する学校の運営に関して協議する機関として、当該学校ごとに、学校運  営協議会を置くことができるものとし、その委員については、教育委員会が任命するものとしたこと。(地方教育行政の組織及び運営に関   する法律(以下「法」という。)第四七の五第一項、第二項)
 2 当該学校の校長は、当該学校の運営に関して、教育課程の編成その他教育委員会規則で定める事項について基本的な方針を作成し、  学校運営協議会の承認を得なければならないこととしたこと。また、学校運営協議会は、当該学校の運営に関する事項について、教育委  員会又は校長に対して意見を述べることができることとしたこと。(法第四七条の五第三項、第四項)
 3 学校運営協議会は、当該学校の職員の採用その他の任用に関する事項について、当該職員の任命権者に対して意見を述べることがで  きることとし、任命権者は、当該職員の任用に当たっては、その意見を尊重するものとしたこと。(法第四七条の五第五項、第六項)
 4 教育委員会は、当該学校の運営に現に著しい支障が生じていると認められる場合等は、指定を取り消さなければならないこととしたこと。    (法第四七条の五第七項)
 5 学校の指定の手続等学校運営協議会の運営に関し必要な事項については、教育委員会規則で定めるものとしたこと。(法第四七条の五   第八項)
 6 (略)
 7 改正法は、公布の日(平成一六年六月九日)から起算して三月を経過した日(平成一六年九月九日)から施行することとしたこと。

第三 留意事項
 1 第一項関係(学校運営協議会の設置)
  今回の学校運営協議会は、地域に信頼される学校づくりを実現するため、学校運営の在り方の選択肢を拡大するものであり、学校の指定 については、学校の管理運営の最終的な責任を有する教育委員会の責任において判断されるものであること。 その際、各教育委員会は、 地域の特色や学校の実態を踏まえつつ、地域の住民や保護者の要望を的確に反映して指定を行う必要があるこ と。
  なお、学校運営協議会は、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、聾学校、養護学校(注:当時)及び幼稚園について設置さ れるものであること。
 2 第二項関係(学校運営協議会の委員)
  (1)学校運営協議会は、学校運営及び任命権者の任命権の行使の手続に関与する一定の権限が付与される機関であることから、その委   員については、設置者である教育委員会の責任において人選が行われ、任命されるものであること。その際、幅広く適任者を募る観点    から、例えば、公募制の活用等選考方法を工夫するとともに、地域の住民や保護者等へ広報、周知に努めること。
    なお、地域の住民、保護者以外の委員については、学校運営協議会が設置される学校の校長、教職員、学識経験者、関係機関の職    員等が想定されること。
  (2)委員については、公立学校としての運営の公正性、公平性、中立性の確保に留意しつつ、適切な人材を幅広く求めて任命するとともに   、学校運営協議会において合議体として適切な意思形成が行われるよう、研修等を通じ、委員が学校運営協議会の役割や責任につい    て正しい理解を得るよう努めること。
  (3)学校運営協議会の委員は、特別職の地方公務員の身分を有することになるものであること。なお、委員については、児童生徒や職員   等に関する個人的な情報を職務上知り得る可能性があることから、教育委員会規則において守秘義務を定めるなどの適切な対応が必   要であること。
 3 第三項関係(学校運営に関する基本的な方針の承認)
  (1)学校運営協議会が行う承認は、学校運営協議会を通じ、地域の住民や保護者等が、校長と共に学校運営に責任を負う観点から、校   長が作成する学校運営の基本方針に地域の住民や保護者等の意向を反映させる観点から行われるものであること。
  (2)校長は、承認された学校運営に関する基本的な方針に沿い、その権限と責任において教育課程の編成等の具体的な学校運営を行う   ものであること。
  (3)教育課程の編成以外の学校運営に関する基本的な方針の対象となる事項としては、一般的には、施設管理、組織編成、施設・設備等   の整備、予算執行等に関する事項が考えられるが、具体的には、地域や学校の実態等に応じて教育委員会規則において定めるものであ   ること。
 4 第四項関係(運営に関する意見の申し出)
   学校運営協議会は、学校運営に関して協議する機関として設置されるものであることから、基本的な方針の承認に止まらず、当該学校   の運営全般について、広く地域の住民や保護者等の意見を反映させる観点から、教育委員会又は校長に対して主体的に意見を申し出る  ことができる旨を明確にしたものであること。
 5 第五項関係(教職員の任用に関する意見)
  (1)地域に開かれ、信頼される学校づくりの観点から地域の住民や保護者等の学校運営に関する要望について、より一層の反映が図ら     れるよう、当該学校の教職員人事について、地域の住民や保護者等が学校運営協議会を通じて直接任命権者に意見を述べられるこ     ととしたこと。
  (2)本項の対象となる「職員」とは、校長、教頭、教諭、養護教諭、学校栄養職員及び事務職員その他当該学校の職員がすべて含まれる    こと。
  (3)本項に基づく学校運営協議会の意見は、当該学校の運営の基本的な方針を踏まえて実現しようとする教育目標、内容等に適った教    職員の配置を求める観点からなされるものであり、一般的、抽象的な意見及び特定の職員についての具体的な意見のいずれについても   述 べることができること。また、「採用その他の任用」とは、採用、転任、昇任に関する事項であり、分限処分、懲戒処分などについては    本項に基づく意見の対象とはならないこと。
  (4)校長、教育委員会においては、学校運営協議会が本項に基づく意見を述べようとするに当たって、適切な意思形成を行えるよう十分な   情報提供に努めること。
  (5)学校運営協議会を設置する学校に関しても、市町村教育委員会の内申権、校長の意見具申権には変更が生じないものであること。し    たがって、学校運営協議会の意見の有無や内容にかかわらず、校長は意見具申を行うことが可能であるとともに、都道府県教育委員    会は、市町村教育委員会の内申をまって任命を行う必要があること。その際、市町村教育委員会は、内申の内容について、学校運営協   議会の意見の内容との調整に留意すること。
  (6)県費負担教職員に関する学校運営協議会の意見については、設置者としてその内容を了知しておく必要があることから、手続上、市    町村教育委員会を経由して都道府県教育委員会に提出されるものであり、市町村教育委員会においてその内容が変更されるものでは   な いこと。
 6 第六項関係(任命権者における意見の尊重)
  (1)学校運営協議会の意見は、任命権者の任命権の行使を拘束するものではなく、任命権者は、最終的には自らの権限と責任において  任命権を行使するものであるが、任命権者においては、学校運営協議会の意見を尊重し、合理的な理由がない限り、その内容を実現する  よう努める必要があること。 (2)なお、第五項に基づく学校運営協議会の意見と異なる内容の任命権の行使を行う場合には、その理由を  明らかにするなど説明責任を 果たす必要があること。
 7 第七項関係(指定の取消し)
  (1)学校運営協議会の活動により当該学校の運営に著しい支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められる場合には、教育委員会は   、 指定を取り消し、教育活動の円滑な実施が損なわれないようにしなければならないこと。なお、指定の取消しを行う必要がある場合とし   て、学校運営協議会として意思形成が行えない場合等が想定されるが、取消し事由については、あらかじめできる限り具体的に定めてお   くことが望ましいこと。
  (2)教育委員会は、学校運営協議会の運営の状況について的確な把握に努めるとともに、必要に応じて学校運営協議会及び校長に対し   て 指導、助言を行うなど、学校運営協議会の円滑な運営の確保に努めること。
 8 第八項関係(諸手続に関する教育委員会規則の定め)
  学校運営協議会の運営に関する事項については、地域の実態や学校の実情なども踏まえ、各教育委員会の判断で柔軟な運用が可能と   なるよう、教育委員会規則において定めることとしているものであり、各教育委員会は、公立学校としての運営の公正性、公平性、中立性  の確保に留意しつつ、責任をもって定めるとともに、その内容について広報、周知に努めること。
  (1)「指定及び指定の取消しの手続並びに指定の期間」 指定及びその指定の取消しの手続については、地域の住民や保護者の意向等    を適切に反映したものするとともに、その基準等についてあらかじめ定めておくことが望ましいこと。具体的には、学校の指定の際、あら    かじめ当該地域の住民や保護者から意向を聴取することなどが考えられること。
    また、指定の期間ごとに学校運営協議会の活動状況や当該学校の運営状況等を確認、評価し、当該学校の運営の改善を進める必要   があること。
  (2)「学校運営協議会の委員の任免の手続及び任期」
    学校運営協議会の委員については、委員の構成、人数、選考方法等も含め、任免に当たっての必要な規定を整備する必要があること   。 また、任期ごとにその活動状況を把握し、適任者の任命に努めること。
  (3)「学校運営協議会の議事の手続」
    学校運営協議会は、合議制の機関として意思決定を行うものであり、開催の手続、議長の選出、議決方法などについてあらかじめ規     定することが必要であること。
  (4)「その他必要な事項について」
    その他教育委員会規則で定めることが必要な事項としては、守秘義務等委員の服務に関する事項、学校運営協議会の運営の評価に   関する事項などが考えられること。
 9 (略)
 10 その他
  (1)学校の裁量拡大
   各教育委員会は、学校運営協議会を設置する学校について、学校運営の基本的な方針に沿って、特色ある学校づくりを進める観点から   、校長裁量予算の導入や拡充、教育委員会への届出、承認事項の縮減等、学校の裁量の拡大に積極的に取り組む必要があること。ま   た、その他の学校についても、同様に学校裁量の拡大に努めること。
 (2)学校評議員との関係 学校評議員は、校長の求めに応じて学校運営に関する意見を個人として述べるものであるのに対し、学校運営協   議会は、学校運営、教職員人事について関与する一定の権限を有する合議制の機関であるなど、その役割が異なるものであることから   、その設置については、教育委員会が学校の状況や地域の実情に応じて適切に判断されるものであること。
 (3)点検、評価等 学校運営協議会を置く学校については、学校運営協議会においても学校の運営状況等について評価を行うなど、十分な  自己点検・評 価に取り組むとともに、学校運営協議会の運営の状況や協議の内容等も含め、地域の住民や保護者に対する情報公開に   ついて一層の取組を進める必要があること。
   また、教育委員会としても学校運営協議会を含めた学校の運営状況等について定期的な点検・評価を行い、その際、第三者評価につい  て積極的に取り組む必要があること。さらに、それらの点検・評価結果について、保護者等に対する情報公開を徹底する必要がある こと。
 (4)学校の名称 学校運営協議会を設置する学校については、各教育委員会の判断で「地域運営学校」、「コミュニティー・スクール」等と、適   宜名称を付することも可能であること。
 (5)児童、生徒の意見 学校運営協議会において必要と認める場合には、児童、生徒の発達段階に配慮しつつ、当該学校の児童、生徒に    意見を述べる機会を 与えるなどの工夫を行うことも差し支えないこと。 (以下略)